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CHAPTER 01

2024年、「第二次大解散」騒動収束後の神室町。桐生との再会やミレニアムタワーでの戦いを経て、再び「ヤクザの未来」のために行動する決意を固めた真島は、葛原に再会すべくマーキュリーデュオ本社を訪れるが、MD本社ビルはすでに空きテナントとなっていた。困惑する真島をよそに、神室町の街頭ビジョンには「フロンティア・プロジェクト」本格始動のニュースが流れる。そしてそこにはプロジェクトを主導する花菱グループCEO・花菱牧生(はなびし まきお)の隣で、「プロジェクト特別顧問」として会見に臨む葛原の姿があった。

 葛原は、かつてネットを騒がせた自身の告発動画について、動画の主題となった「父親がヤクザとの汚職事件に関与した弁護士であること」「兄は元近江連合のヤクザであること」「自身はそれを秘密にしてアイドルになり、世間を騙していたこと」「アイドルを辞めて更生支援に携わったのは、家族のためにヤクザ社会を復興させるためであり、そのために蒼天警備保障に提携を持ちかけたこと」が全て事実であると認め、自己の罪を清算するためにフロンティア・プロジェクトに志願したと続ける。これに真島は強烈な違和感を抱く。葛原が自身の出生の秘密を知ったのは「墓場事件」後であり、自身は彼女がそれに向き合うのを間近で支えていたのだった。ここから真島は、葛原の真意を明らかにすべく行動することを決める。

 真島は神室町の住人の話から、「MDは炎上後花菱グループに買収されたこと」「葛原は炎上後、買収を受諾し、責任逃れの形で失踪したこと」を知る。さらにTVではフロンティア・プロジェクトの舞台となる人工島「ポートフロンティア」が公開される。大阪湾に浮かぶポートフロンティアは全体が更生支援施設となっており、元暴五年条項に苦しむ身寄りのない元暴たちに衣食住を提供するのみならず、ポートフロンティア内に置いた花菱グループ系列の事業所に勤務することでキャリア形成を支援するという機能も持っていた。花菱は中小零細企業が事業者のほとんどを占め、受け皿が圧倒的に足りていない更生支援業界に巨大企業である花菱グループが参画することで、「罪を認めた人を赦し、救い上げ、共存する」という更生支援の理念を実現すると宣言するのだった。

 神室町での調べを終えた真島は花菱に接触すべく大阪に向かうが、ポートフロンティアは住人・職員以外は自由な立ち入りができず八方塞がりになってしまう。そこに元MD関西支部職員である置名昴(おきな すばる)が現れ、真島は置名の客としてポートフロンティアに足を踏み入れる。真島が会見での葛原の言動に違和感をおぼえたことを告げると、置名は自身も現在の葛原に違和感があることを明かす。置名によれば、炎上後葛原は一度も社員たちの前に姿を見せず、買収の発表も文書のみで、蒼天警備保障との提携プロジェクトを任された置名ですら閑職に追いやられ、葛原と直接会って話ができていなかった。さらに置名は、花菱に関する「黒い噂」があることを明かす。それは、花菱が蒼天堀で裏風俗を経営する元近江連合のヤクザと繋がっているというものだった。真島はこれを受け、花菱に近づくための糸口として裏風俗の噂を調べることにする。

二人は真島の人脈から、蒼天堀や椿園で働くキャバ嬢や風俗嬢たちが情報交換しあうSNSアプリ「ヘルメス」の存在に辿り着く。デペロッパ情報の不明なヘルメスを置名は訝しむが、真島は助けを求める投稿を見つけ、二人はアプリ上で投稿主の風俗嬢との接触に成功する。彼女は元々借金返済のためにキャバ嬢として働いていたが、ある日身に覚えのない自身のポルノ映像が拡散され、蒼天堀を追われ友人・家族を頼れなくなっていた。そんな中高待遇を謳う「裏風俗」からのスカウトが舞い込み、借金を返し糊口をしのぐためにはヤクザの営む裏風俗で働くしかない、と追い詰められていたのだった。二人は彼女の言う映像の拡散を止めさせるべく、代わりにスカウトとの待ち合わせ場所に向かい、裏風俗の本拠地に乗り込むことにする。スカウトを倒して本拠地の場所を吐かせた二人はすぐさま乗り込み、襲いかかる組員たちを退け、外山組の首領である外山 智美(とやま さとみ)と対峙する。真島は花菱との繋がりや女性たちを囲い込む手口について問いただすが、外山は「俺はただ気持ちよくなりたいだけ」とだけ言い、答えようとしない。二人は実力行使に出るが、戦力差もあって終始外山組に圧倒され、あえなく敗走するのだった。

命からがらポートフロンティアに帰還した真島は、置名の無断欠勤を花菱が咎めたことで初めて花菱との接触に成功し、花菱の提案で葛原がポートフロンティアに暮らす元暴たちに講話を行う様子を見学する。元暴たちを見事に教え導く葛原の姿を見た真島は、その姿が「誰もが本質とともに希望を持って生きられる社会の実現」という葛原の信念そのものであると感じ、自分のいない間に葛原は独り立ちしたのかもしれないと考えるが、やはり一抹の違和感を拭えないのだった。やがて講話が終わり、葛原は二人に目もくれず花菱と共に会場を後にする。しかし真島の手には、葛原がすれ違いざまにこっそり渡した「二人で会えませんか?」というメモがあった。

その夜、真島はポートフロンティア地下にて葛原と再会する。葛原は告発動画炎上後、「更生支援のために働く同志である自身を守りたい」と語る花菱から買収の提案を受けるが、唐突すぎる提案に疑念を抱き拒否の意志を示していた。しかしほどなくしてMDでは買収を受け入れ株式や経営権を花菱グループに移行するという文書が葛原の承認なしに作られ、決裁されてしまう。すぐさま事実関係を確認しようとするが顧問弁護士は応じず、資産や職員たちは花菱に奪われ、自身は職員たちの花菱グループ内での立場を保障する代わりに、自由を奪われ「責任逃れで失踪後、花菱の手によって改心し、罪を認めて花菱とともに更生支援に携わる」というシナリオを演じさせられていたと言う。

葛原はさらに秘密裡に入手した一枚の文書を提示する。それはポートフロンティアで元暴たちによって作られた製品が、花菱の支配下にある外山組を通じて海外マフィアに流されていることを記す文書であった。これを受け、葛原とともになぜ花菱が外山組を利用して元暴たちを再び裏社会の養分にしようとしているのかを明らかにし、元暴たちの保護とMD再建のために動くことを決める真島だったが、その傍らで葛原のスマートフォンに「ヘルメス」の通知が表示されているのを目にし、その内容が自身が数時間前に外山に囲い込まれたキャバ嬢に対し送ったものであることに気づく。山積した疑念が確信に変わり、真島は眼前の葛原に対し「お前は誰や?」と問おうとするが、その場に花菱が近づいてきたことを知覚した葛原によって逃がされ、有耶無耶のままポートフロンティアを後にする。

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