top of page

​白樺 寿造

Juzo Shirakaba

juzo.png

白樺 寿造(しらかば じゅぞう)

出身地:大阪 辻ヶ崎
生年月日:1945年10月11日(2010年没)
身長:186cm
体重:82kg
血液型:O型

テーマフラワーはシラカバ。花言葉は「光と豊富」。背中の刺青は阿弥陀仏。白髪のオールバックに無精髭。光の無い黒の瞳。晩年は黒色の和装で過ごしていた。

元・近江連合直系白樺組組長。近江連合の黎明期を知る古株で、その強さから長年直系組長のひとりとして存在感を示していたが、10年前(2010年)に道半ば末期がんで没する。息子の護矢に組を託すとともに、「墓場」なる土地について記した遺言状を遺した。
情にあつい好々爺で言動は豪放磊落そのものだが、その裏では非常に合理的な判断を下し、「極道で最大多数の人間を幸福にする」という哲学を徹底する。金や権力は二の次で自らの極道を生き抜く、言わば極道のアーキタイプのような人物であったとされるが……。

昭和中期、蒼天堀に程近い「辻ヶ崎」にて生まれる。貧困と外界からの激しい差別によって「将来は裏社会に進むか、日雇い労働者になるかしかない」とさえ言われる辻ヶ崎の中でもきっての貧困家庭に生まれ、さらに幼い頃に両親が蒸発したことから、戦災孤児と何ら変わらない環境下で育つ。物資不足とインフレで誰もが苦しい生活を送る中、教育を受けることもままならず、辻ヶ崎の住民の物資を盗んで生活していたことから、半ば忌み子のような扱いを受けていた。このことからおよそ社会性と呼べるものを持たず、生存本能に由来する暴力と合理的に奪うことのみが外界と関わる手段であった。成長後は寄る辺もなく蒼天堀に流れ着き喧嘩に明け暮れ、荒稼ぎをして糊口を凌ぐ。

16歳(1961年)の時に、辻ヶ崎出身の男が蒼天堀で殺害された事件をきっかけに辻ヶ崎にて暴動が起こる。自らを排斥した辻ヶ崎の住民に対する同胞意識があるはずもなく、住民と警察の衝突を等閑視するのみであったが、その姿を近江連合初代会長に見初められる。当初は暴力を振るうでもなく自らに関わろうとする初代会長の在り方を理解できずにいたが、初代会長が根気強く対話を続けたことから、他者とのつながりの中で自己を客観視する社会的自我が芽生え、次第に彼の「極道で最大多数の人間を幸福にする」という哲学に共鳴し、近江連合の正式な構成員となる。以降は彼の私費で教育も受け、近江連合を支える一幹部として成長し、初代会長の哲学を至上目標として行動するようになる。

しかし幼時の強烈な体験によって染みついた本能に依拠した合理性は消えず、自身の中に自己保存、目的達成を至上とする「本来の動物的自我」と他者とのつながりを考える「後天的な社会的自我」が併存するようになる。やがて「『極道で最大多数の人間を幸福にする』という目的を達成するため」と自認しながら「社会的で豪放磊落な性格」を演じるようになり、いつしかそれらの境界が複雑に混ざり合ってしまった。その結果、人情深い言動を取りながら、合理性に従って非情な判断を何一つ疑うことなく取ることができる精神性を獲得した。

あらゆる判断を「幸福の最大化」という格率に基づいて判断するため、同胞意識や愛の観念を知らない。他者への共感性も「幸福かそうでないか」にとどまる。葦野から護矢を引き取ったのも、事件が露見する心配に苛まれる葦野・満足な養育を受けられない護矢・他者を愛することはできないが、極道社会の文化ゆえに「後継ぎ」を欲する自身それぞれのニーズを満たして幸福の数を最大化するためであって、そこに慈しみの感情は一切存在しない。終生護矢の前では父親然とした振舞いを崩すことがなかったが、それも欺こうという意思に基づいた演技ですらなく、本性が下す合理的な判断に自然に従っていた結果でしかない。初代会長の存在以外いっさいのイデオロギーから自由であり、本性の判断のみに基づいて行動を二転三転させる姿は数奇に見えるが、いざ蓋を開ければそこには確かな合理性が貫徹しているのであり、周囲はそこにカリスマ性を感じてしまう。なお、この精神性を正しく理解しているのは月井(息子)だけである。

初代会長の死後はその遺志を継ぐも、二代目の就任によって分裂した近江連合で、1961年の暴動以来買い手のつかなくなった「墓場」をめぐり二代目派と対立(シマ争い)していた。そんな中、1980年に実権を握る二代目派が「墓場」を手放し対立を終結させるため、1961年の殺人の犯人が民自党幹部の息子であることをエサに政府との取引を計画していることを知る。初代派にとっては重要なメルクマールである「墓場」を奪還すべく、また目先の利権ばかりに貪欲で、極道・カタギを食いつぶすだけの二代目体制を崩し、近江連合全体を「最大幸福を生むための組織」として純粋化すべく単身二代目派に背くことを決め、政府で取引の処理を任された月井(父)と独自にコンタクトを取り、元々は月井がするはずだった事件の事後処理を一任されることを条件に二代目派の動きを把握。取引に関与した二代目派の要人を暗殺するほか、二代目派のあまりに急進的な体制に違和を感じていた中道派の諸組織を味方につけ、組織ぐるみの報復を全て返り討ちにして、汚職事件の秘匿と「墓場」の奪還、そして二代目体制の崩壊を成功させる。またその二年後(1982年)、葦野の子である護矢を引き取る。

その後は三代目会長に就任するかと思われたが、「二代目派の構成員たちが復帰しづらいだろう」として会長のポジションを中道派に託し、直系組長に収まった。以降はミナミを中心に組を率いていたが、「カラの一坪」をめぐる事件、暴対法設置や1995年の神室町での事件(堂島宗兵の死)以降の近江連合・東城会の利権化・弱体化を目にし、「日本の極道にもはや未来はない」(=日本の極道社会において初代会長の本懐を遂げることは不可能)と考えるようになる。また2005年(60歳)にがんが見つかり、「最後の仕事」として2008年に月井(息子)と護矢一人を犠牲に白樺組構成員全員を更生させる密約を結ぶ。またこの時1980年の事件で手にした「墓場」の権利を正式に放棄しており、偽の遺言状などを通して月井に護矢を舞台に上がらせるための餌として使用させた。
2010年に末期がんで没する。

「本物の狂人」を作りたかったキャラクター。モチーフは『ハーモニー』の御冷ミァハ。刺青の「阿弥陀仏」は釈迦(初代会長)に対する阿弥陀仏の立ち位置(次の仏/救済者)と、勢至菩薩(護矢)が阿弥陀仏と一緒に描かれることから。最大幸福を掲げながらも唯一絶対の真理のためにあらゆるものを犠牲にできる人間。自己以外のあらゆるものを幸福に導くべき羊、同時にそのための駒とみなしている。「幸福」以外の全てを等価と考えており、月井父子、葦野等にも特別な感情を抱いてはいない。


性格自体は部下思いの好々爺で人懐こい感じ。立ち居振る舞いが残忍なのではなく、好々爺状態のまま疑いひとつなく残忍な判断を下せる(判断が自動的に合理性に直結する)ところがグロテスク。初期設定では「死んでいたはずなのに実は裏で全てを操っていた!」的なキャラクターだったが、死してなおその哲学が後世をひっかき回すより大きな存在になった。

フォロー

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

©2022 by Bosatsu Cupid。Wix.com で作成されました。

bottom of page